不眠症(睡眠障害)とは
「不眠症」と書くと、ただ眠れない症状といったイメージがありますが、眠るべき時間に眠れない、日中寝ていてはいけないときに寝てしまうといった睡眠サイクルの乱れが殆どのケースで、全く眠れないといったものが該当するわけではありません。
不眠症は、全人口の10~20%ほどの人がもっており、非常にありふれた症状と言われています。
児童期は、夜はきちんと眠れ、朝はパッと目覚めることができ、遅刻する子供や授業中に居眠りする子供はほとんど見かけなかったと思います。
高校、大学と進むにつれて、授業中に居眠りや遅刻をするといったケースが増え、高齢になるとほとんど眠れないというように、年齢とともに睡眠障害を抱えやすくなる傾向がみられます。
睡眠障害もストレスやトラウマの積み重ねで起こる自律神経失調の一種で、交感神経が高まった状態が夜中なかなか寝付けない「不眠」、副交感神経(背側迷走神経)が高い状態が過眠で眠気がつきまとう症状となります。
睡眠が不足すると、感情が不安定でイライラしやすくストレスが蓄積され、そのエネルギー不足を補うためにお菓子、タバコ、お酒の量が増えていきます。悪循環サイクルに陥ると過度に悲観的になり、悪い事ばかりが起きているように感じたり、生きていくことが辛く、希望が見いだせなくなるようになります。
また、高齢になるほど副交感神経の働きが弱くなってくるのに加え、睡眠を促すメラトニンも減少していくので、睡眠時間が短くなっていく傾向にあり睡眠の乱れもでてきやすくなります。
睡眠薬に頼ると陥る罠
薬による睡眠は本来の睡眠のメカニズムとは異なる理由
不眠が続き、眠れない夜が続くと頼りたくなるのが睡眠薬。
睡眠薬は、深い眠りにつかせてくれ、辛いことも忘れさせてくれるありがたい存在になります。
睡眠薬の多くはGABA神経に作用するベンゾジアゼピン、非ベンゾジアゼピン系(レンドルミン、ハルシオン、リスミーなど)の薬が主に使用されています。
この薬は、興奮作用のあるドーパミン・ノルアドレナリンを抑制することで眠りやすく作用があります。
非ベンゾ系は副作用を低減させるために開発された薬ですが、ベンゾ系とほとんど変わりません。
抑うつ状態のときに、抗不安薬としても利用されるもので、抗不安薬を強めたものが睡眠薬といったようなものになります。
これらの薬は、本来の睡眠とは異なるメカニズムで強制的に睡眠状態にするもので、睡眠を改善する薬ではありません。
本来の睡眠とは、脳内のセロトニンがメラトニンに変換されることで眠りにつくものですが、これらの薬はアルコールと同じく、大脳新皮質のGABA神経に作用し強制的に眠りにつかせるもので、本来の睡眠メカニズムを狂わしていくことになります。セロトニンを増やすと眠りに落ちやすいとよく言われますが、それよりもセロトニンをメラトニンに変換させることのほうが重要です。
ベンゾジアゼピン系は、安全な薬と思われがちですが、長期で服用していくと激しい離脱症状や副作用が襲い、日本ではその危険性があまり認知されていません。
アルコール中毒も怖いものですが、睡眠薬も長期服用となると、一度飲み始めたらなかなかやめにくく苦しんでいる人も多い(ベンゾジアゼピン被害)ので常用は控え、やむなくというときだけ使用するようにするといいでしょう。
次々と開発されてくる新薬は期待できるのか?
近年、メラトニン受容体拮抗薬であるラメルテオン(ロゼレム)、オレキシン受容体拮抗薬スポレキサント(ベルソムラ)といった睡眠薬も登場していますが、ベンゾジアゼピン系と同様、本来の眠りとは異なるメカニズムで睡眠を促します。
これらの薬は、覚醒と睡眠が同時に起こっているような状態になり、眠りが浅く、悪夢をみたり、昼間も眠気が襲う(ナルコレプシー)が特徴で、居眠り運転で事故を起こす危険性が高い薬です。
新薬であり、ベンゾジアゼピンのような危険性は不明ですが、同じく本来の睡眠を促すものではないため、不眠症の改善には至りません。
睡眠薬は耐性がついて効果の効き目が悪くなり薬の量が増える一方
睡眠薬も抗うつ薬と同様、一度、同じ量の服用を続けていくと、しだいに耐性がついて、眠れなくなるのが特徴です。
効き目が効かなくなると、薬を強めのものに変更したり、量が増えていくようになります。
その結果、脳、肝臓、胃腸が蝕まばれ、激しい頭痛、吐き気、めまいが襲ってきて、本当に眠れなくなる人もいます。
そういった状態で、薬を止めようとしても、激しい離脱症状で苦しむことになるので止められず、服用するのも中止するのも危険になって苦しい状態で何年もかけて減薬を続けている人もいます。
本当の不眠症の改善とは、自律神経や環境、生活リズムを整え、薬を飲まず自然に眠れ、疲れを感じさせないような質の高いものにすることです。
睡眠障害とトラウマ
不眠症になる人の多くは、うつ病などの精神疾患と同様、育成期の家庭環境、親との関係、愛着障害が深く関わっていることが多くあります。
過去に逃げ道がなく、支配してくる親や人物に捕らわれ、PTSDを引き起すようなトラウマを受けると、社会的環境と関わりストレスをかかえるようになってから不安になり、夜になってもリラックスできず眠ることが難しくなる傾向にあります。
このような体験をした人は、暗闇に怯えたり、物音などに過敏になりがちで、交感神経が高まり脳が興奮すると、不安や考え事をして寝る時間になっても覚醒状態が続くため眠れにくくなります。
不眠による疲労が続くと、交感神経が高まった状態が続くため、何等かのショックで全般性不安障害、パニック発作・過呼吸を起こし、さらには広場恐怖症、うつ病へと繋がり、八方塞り状態に陥るパターンが多いようです。
そのようにならないためにも、日頃から運動やストレッチなどでリラクゼーションを心掛け、ストレスを解消しておくといいでしょう。
トップへ
「自然治癒力発動!」
うつ病、自律神経失調症、不安障害、摂食障害
PTSD/解離性障害
を短期克服
トラウマ/HSP/潜在意識ヒーリング