抜毛癖(抜毛症)とは
抜毛癖(ばつもうへき)とは自分で、体毛(主に頭髪)を繰り返し抜いてしまう症状です。
〝トリコチロマニア〟〝抜毛症〟と言った名称で呼ばれることが多く、世間一般では、あまり知られていない疾患です。
抜毛症は皮膚むしり症と類似した症状で、最新の国際的な診断基準のDSM-5では、強迫性障害の関連疾患のひとつとしています。
白髪、枝毛、ムダ毛を抜くのとは異なり、正常な毛を無意識に繰り返し抜いていくもので、頭髪の場合は円形脱毛症のように特定の部分がなくなってしまいます。
円形脱毛症はストレスなどで毛根に何等かの異常が生じて起こるものですが、抜毛癖の場合は故意に抜き、その抜いた箇所の毛根細胞が損傷を受け永久に生えてこなくなるものです。
やめたくても、何かに集中しているときやストレスがあると無意識に手が動くので、やめられない上に、女性の場合は容姿にも関わってくるため引きこもりや対人恐怖を引き起す可能性もあります。
「DSM-5」の診断基準では、
「繰り返し抜くことで、体毛が喪失してしまった 部分がある」
ということが、抜毛症の診断基準とされています。
抜毛癖(抜毛症)の発症
一般人口の有病率は、推定1~2%。男女比は、約1:10の割合で女性に多く見られる傾向があります。
発病平均年齢は思春期の10代前半で、最も多いのは17歳以前です。
ストレスあるいは退屈な感覚が引き金となり、13歳以降の発病は慢性的にな りやすいと考えられています。
抜き始めるきっかけは、不安や退屈をまぎらわすためだったり、日常生活での緊 張によるものだったりしますが、自分ではとくにきっかけが思い当たらないこと もあります。特に親の過干渉、家庭内環境ストレスといったものが大きな原因とも考えられています。
抜くことが繰り返されるようになると、気になる毛を見つけて抜くまでに緊張の高まりを感じる人もいれば、抜いたときの快感や安堵感から、やめ られなくなることもあります。
また、同じ行動を何度も繰り返すチック障害、皮膚むしり症という病気も発症していることが多いといわれています。
抜毛癖(抜毛症)の症状
抜毛の対象となる箇所は頭髪に限りません。
通常は、頭髪や眉毛、まつ毛のように服に覆われていない部分の毛を抜くことが多いようです。
頭髪の場合は偏りなく毛髪を抜くことは少なく、多くの場合はある特定の領域を集中して引き抜いてしまうため、その箇所の地肌が見えるようになるだけでなく、ほとんど毛髪が残っていない状態にまでなることもあります。
また、人によっては毛を食べる食毛症を併発したり、脱毛後にできたかさぶたや剥がれた皮膚を食べることもあります。
初期の頃は、意図的に抜くことによる快感でストレスを発散させていきますが、行為が慢性化し無意識的に繰り返し行われるようになると、行為を止められない事、損傷箇所やその行為を人に見られることの恥ずかしさなどで苦痛を伴うようになってきます。
症状が酷くなると女性でも学生の頃からカツラをするほどで、集中力の低下や勉強の妨げにも繋がり、学校へ行くことが難しくなる場合もあります。
そのストレスからうつ状態、うつ病、など心の病気を発症してしまう人もいます。
抜毛癖(抜毛症)になりやすい人
抜毛症を発症する人の特徴として、自己否定、完璧主義、短気・飽きっぽい、自分の気持ちをうまく伝えられない・我慢する、感受性の強いHSPタイプが多い傾向にあります。
皮膚むしり症と併発あるいは経験することもありますが、親の過剰な干渉などでストレスを抱えるとなりやすい傾向にあります。
潜在的にトラウマをかかえているため、何等かのショックングな出来事でうつ病などを発症しやすい体質ですので注意が必要です。
精神医療での治療法
薬物療法
抜毛症や皮膚むしり症に対する症状に対して、どのような神経伝達物質が有効かの知見は得られておらず、薬物療法が有効な手段かは認められていません。
医師によってはSSRIなどが処方されることがありますが、体験者の話しなどでも効果の実感が得られたと言う内容はほとんどありません。
抗うつ薬は、離脱症状、アクチベーションシンドローム、副作用などの症状を引き起こすため注意が必要です。
認知行動療法
認知行動療法では
「暴露行動妨害法(ERP)」
の他に、
「習慣逆転法(ハビット・リバーサル訓練」
が有効とされています。
ハビット・リバーサル訓練とは、ネイハン・アズリン氏が、1973年に出版した
「神経症やチックを減らす方法」
の中で紹介した方法で、もともと慢性チックに用いられていた方法です。
慢性チックから、抜毛症に用いられ、最近では強迫症に用いられている例もあります。
ハビット・リバーサルは、簡単に言うと習慣を逆転、あるいは置換させましょうという方法です。
例えば、
「毛を抜く」行為をしそうになったら、
「棒を握りしめ我慢する」
脳との関係
抜毛癖は強迫性障害の一種で、グルタミン酸濃度が高いことから起っているのではないかと考えられています。
アメリカではグルタミン酸を抑える薬やサプリメントを投与すると治まったという事例もあることから、有力な手段の一つと考えられています。
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